今回は時間管理と集中についてピーターFドラッカーに学んでいきます。
これまでも時間の作り方やその重要性については何度も取り上げてきましたが、久しぶりに読んだドラッカー本に改めて感銘を受け今回の記事を書いています。
時間管理と集中についてドラッカーはどう言っているのか。古いけど新しい、即役に立つけど普遍的である彼の考え方を「成果あげること」にこだわって見ていきます。
時間について改めて考えたい人、集中について学び成果をあげたい人は必見の内容です。
今回はこんな人の役に立つ記事になっています。
- 時間に追われている人
- 時間管理が苦手な人
- 仕事に集中できていない人
- 成果のあげ方を学びたい人
こんな方は必読です。
時間の重要性
まずはドラッカーが語る成果をあげる時間の管理について見ていきたいと思います。
さすがは「マネジメントの父」時間の管理についても言ってることが奥深い。
時間を管理する
ドラッカーは時間についてこう言っています。
- 時間は「借りたり」「雇ったり」「買ったり」できない
- 時間は「需要が大きくても供給は増加しない」「価格がない」「簡単に消滅する」「蓄積できない」「永久に過ぎ去り戻らない」
- 時間は「常に不足する」「他のもので代替できない」
時間は目に見えないんで気をつけないと浪費してしまいます。
気づかないうちに時間は無くなり戻ってこず不足します。そしてそれを賄うものは他にはありません。
それほど時間は貴重な資源なのです。
だからこそ自分の時間をどのように使っているのか自分自身で管理=マネジメントしていく必要があるのです。
彼は成果をあげる時間管理についてこう記しています。
成果をあげるものは仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。何に時間がとられているかを明らかにすることからスタートする。次に時間を管理すべく自分の時間を奪おうとする非生産的な要求を退ける。そして最後にその結果得られた時間を大きくまとめる。
要は
- 時間を記録する
- 時間を管理する
- 時間をまとめる
この3つの段階が成果をあげる時間管理の基本だと言っています。
あらゆるプロセスで成果の限界を決めるのは最も欠乏した資源=時間である。成果をあげる人は時間に制約があることを知っている。
こう言っています。
成果をあげるためには時間が必要なのです。同時に時間は成果を求めるための貴重な資源なのです。時間の無駄や浪費は成果を生みません。
それではそんな貴重な時間を浪費させているのはいったい何なのでしょうか・・・?。
次に時間を無駄する仕事について見ていきたいと思います。
時間を無駄にする仕事
時間を無駄にする仕事について彼はこのように記しています。
- 会議
- 報告書作成
- 得意先からの電話
- 会食
- スピーチ
- 委員会
- 役員会
成果には何も寄与しないけど・・・無視することができない仕事ってことになります。
時間を無駄に使わせる圧力は常に働いている。何の成果ももたらさない仕事が時間の大半を奪っていく。ほとんどは無駄である。地位が高くなれば、その高くなった地位がさらに時間を要求する。
時間を無駄にする仕事についてこう断じています。
あらゆることが時間の中で行われ時間は費やされます。
でもほとんどの人がこの代替できない必要不可欠な資源である時間に対し費やすことを当たり前と思っていると彼は言っているのです。
ただし成果をあげる人は時間に対して愛情ある配慮をし真に普遍的な制約条件であることを認識していると記しています。
では彼が言う成果をあげる人の時間管理の基本3段階を見ていきたいと思います。
時間を記録する
まず時間管理をしていくには時間をどのように使っているのか知る必要があります。そのためにはまず時間を記録する必要があるのです。
「肉体労働に関しては作業時間を測定し記録してきたが知識労働者の仕事についてはやってこなかった」・・・と指摘しています。
だから知識労働者が成果をあげるための第一歩は時間の使い方を記録することとしています。
ここで言う「知識労働者」とは「ナレッジワーカー」のことです。いわゆる自らの知識によって企業や社会に貢献する労働者のこと。
ナレッジ(知識)によって付加価値を生み出していくそんな労働者です。マニュアルワーカーの反対です。
知識労働者の時間管理は生産性の向上を生みます。
知識で付加価値を生み出す仕事って創造的な仕事です。でも時間管理が非常に難しい職種ですよね。時間の境目がハッキリしていない・・・。
彼もその方法は詳しく書いていません。
私が考えるにまずは知識労働者が無駄な時間を使っていないかを記録することが始まりだと思います。
時間を管理する
次は時間を管理することです。
時間の使い方は練習によって改善できる。だが絶えず努力をしない限り流される。時間の記録の次に来る一歩は体系的な時間の管理である。時間を浪費する非生産的な活動を見つけ排除していくことである。
プロフェッショナルの条件
そうですね。何事も練習や訓練によって改善できるんです。ではその方法とはどんなものでしょうか。3つあります。
1番目は
- する必要の全くない仕事を捨てる
なんの成果も生まない仕事は完全な時間の浪費です。まずはそんな仕事を見つけて捨てなければなりません。
成果を生まない仕事を見つける方法として「その仕事を全くしなかったら何が起こるか」を考え「何も起こらない」が答えであればその仕事は捨てろってことです。
シンプルですね。
2番目は
- 他の人間でもやれることは何かを考える
これもシンプルです。
他の人にその仕事がやれるのであれば成果をあげるためにあなたはよりレベルの高い仕事をしなさいってことですね。
3番目です
- 自らコントロールし自ら取り除くことのできる時間浪費の原因を排除しなければならない。
これは一瞬「?」って感じですが「あなた自身が他人の時間を浪費させている」ことはないか・・・ということです。
自分の仕事の仕方が他の人の時間の浪費につながっていることってありませんか。
あなたが発案した会議はどうでしょうか。あなたが誘った会食は・・・誘われた人の時間を奪ってませんか。
対策として「仕事に貢献せずただ時間を浪費させるようなことを私は何かしているか」と定期的に自問自答することです。
答えを恐れることなく自分自身にこう質問できることが成果をあげるものとしての条件であると記しています。
時間をまとめる
最後は時間をまとめることです。「時間をまとめ」るとはこういうことです。
時間は大きなまとまりにする必要がある。小さなまとまりでは、いかに合計が多くとも役に立たない。
プロフェッショナルの条件
何事にも時間がかかる・・・だから時間をまとめて成果をあげる仕事に使わなければならない・・・ということです。
そのためには前の2つ「時間を記録する」「時間を管理する」ということが大切になってきます。
この3つは密接に関係しています。ひとつが欠けても成立しません。
特に知識労働者のナレッジワークについては多くの時間が必要です。そのためには多くの時間をまとめあげて、じっくり時間をかける必要があります。
ドラッカーさんは知識労働者の労働時間はますます長くなっていて時間への要求はさらに増大していると・・・。
時間不足は改善されるどころか悪化していくと・・・。
そう懸念されています。
私たちはこれまで知識労働(ナレッジワーク)についてあまりにも考えてこなかったのかもしれません。
日本でイノベーションが起こりにくいのはこういったことも原因なのでしょう。
私たちは日々の仕事に流されることなく常に「時間」と向き合い時間を管理しながら、いわゆるPDCAサイクルを回していき知識労働者に近づいていきたいものです。
集中について
時間管理の重要性を見てきました。次は成果をあげる「集中」について見ていきます。
実は「時間」と「集中」は密接に関係しています。切っても切り離せません。そんな「集中」についてドラッカーに学びます。
ひとつのことに集中する
成果をあげるための秘訣をひとつだけあげるならば、それは集中である。成果をあげる人は最も重要なことから始めしかも一度にひとつのことしかしない。
プロフェッショナルの条件
奥が深いですね。
集中が必要なのは仕事の本質と人間の本質による。いくつかの理由は明らかである。貢献を行うための時間よりも行わなければならない貢献の方が多いからである。
プロフェッショナルの条件
もちろん行うべき貢献は分析する必要があります。必要な貢献かってことですね。
分析するにも時間が必要です。
そして時間を整理すると真の貢献をもたらす仕事に使える時間があまりにも少ないことが分かってきます。
彼は時間の「収支」は常に「赤字」と形容してます。
だからこそ「集中」が必要なのです。
自分の強みを重要な機会に活かそうとするなら「集中」必要であると。
人間の多様な能力を持ってしても「集中」以外に成果をあげる方法はないとまで言い切っています。
唯一の例外は「モーツァルト」としています。でも組織で働く者がモーツァルトになるのは難しいと。面白い表現ですね。
そして集中するために厳しい自己管理と「ノー」と言える決意が必要なのです。
成果をあげることができない人の特徴もあげています
- 一つの仕事に必要な時間を過小評価する
- 急ごうとする
- 同時にいくつかのことをする
こういったことには気をつけましょう。ありがちですよね。
しかもドラッカーさんは「成果をあげられない人の方が良く働いている」とまで言っています。
いますねこんな人!。あなたは違いますよね・・・。
古くなった過去のものを捨てる
集中するための第一の原則は、もはや生産的でなくなった過去のものを捨てることである。
プロフェッショナルの条件
そのためには自分の仕事や部下の仕事を定期的に見直し捨てるか否かを自問自答する必要があります。
「まだ行っていなかったとして今これに手をつけるか」を問いかけて下さい。
私たちは生産的でなくなった過去のものに時間を取られてばかりいて成果をあげるために必要な仕事に集中できなくなっています。
古いものは捨てていき本当に成果をあげる仕事に集中しようということです。
「今日という日は常に昨日の決定や行動の結果である」名言ですね。物事は常に古くなり劣化していきます。
私たちは情報化社会に生きています。情報の劣化スピードはより急速です。故に常に決定や行動そして物事や情報を見直していきたいものです。
個人や組織が成果をあげていくためには、そしてそれを望むならば常に「計画」「活動」「点検」をし「これは価値があるのか」・・・そう問いかけていきましょう。
もうひとつ名言を
「人はいかなる肩書や地位を持とうとも明日を知ることはできない」
だからこそ「今日の資源は今日使わなければならない」そして成果を期待できなくなったものは捨てていく必要があるのです。
「古いものの計画的な廃棄こそ新しいものを強力に進める唯一の方法である」
この名言を最後にこの項を終わります。勇気を出しましょう。
優先順位と劣後順位
劣後順位に入る前にドラッカーさんの言う優先順位のつけ方を見ておきます。
- 過去ではなく未来を選ぶ
- 問題ではなく機会に焦点を当てる
- 横並びではなく自らの方向性を持つ
- 無難で容易なものではなく変革をもたらすものに照準を合わせる
なんかシビレますね。カッコいいですドラッカーさん。
今の日本に全て欠けていることなんじゃないかと・・・今日はあえて触れませんが。
そこを踏まえた上で「劣後順位」についてです。
優先順位ばかりに気を取られずに劣後順位も考えていくことこそ仕事の本質に近づき成果をあげていくことになります。
恥ずかしながら私はこの本を読むまで「劣後順位」という言葉は知りませんでした。
簡単に言うと「何をやらないかを決めること」です。
本当に行うべきことは優先順位の決定ではない。優先順位の決定は比較的容易である。集中できるものがあまりに少ないのは劣後順位の決定すなわち取り組むべきでない仕事の決定と、その決定の遵守が至難だからである。
プロフェッショナルの条件
私たちは日々の仕事の中で優先順位をつけ仕事を行っていますが、その中にもしかしたら「やる必要のない仕事」も含まれているかもしれません。
もっと言うと「生産的でなくなった過去のもの」も含まれている可能性だってあります。
そんな仕事に時間を取られていると成果をあげるべき仕事に集中できなくなってしまいます。でも劣後順位をつけるとなると多分迷うでしょう。
なぜか・・・?。
「やらない」という選択だからです。
この「やらない」という選択には分析も大切ですがそれ以上に「勇気」が必要だからです。優先順位もそうですが劣後順位の決定にも勇気が必要です。
ここでその「勇気」について触れておきます。
優先順位と劣後順位に関して重要なことは分析ではなく勇気である。
プロフェッショナルの条件
ドラッカーはさらに続けてこう言ってます。
集中とは「真に意味のあることは何か」「もっとも重要なことは何か」という観点から時間と仕事について自ら意思決定していく勇気のことである。この集中こそ時間や仕事の従者となることなく逆にそれらの主人となるための唯一の方法である。
プロフェッショナルの条件
まさに時間と集中それに関する勇気の本質をとらえた含蓄ある一文です。
この境地まで達するのは一筋縄ではいきません。日々の努力や前向きな気持ち、物事のとらえ方が必要になってきます。
いつも言っていますが私たちは忙しい中でも「フッと」立ち止まり自分を振り返ることができるはずです。
時には立ち止まり時間や集中について考える時間を持つことこそ「時間」と「集中」の本質に近づいていく第一歩なのです。
最後に
今回は「ドラッカーに学ぶ成果をあげる時間と集中の本質」と題して時間と集中について考えてきました。
今回の参考文献「プロフェッショナルの条件・いかに成果をあげ、成長するか」は2000年に初版が発売されています。
もう20年も経っています。
今再読してみて「何か変わったか」を考えてみると個人としては成長した部分やまだまだな部分を顧みることはできます。
しかし日本について考えるときこの本を初読した時とほとんど変わっていないような気がして怖ささえ覚えてしまいます。
私たち大人の責任です。
でもまだまだ終わったわけではありません。いくつになっても成長はできるのです。
ドラッカーさんが言う境地に達するのは難しいですが少しでもそこを目指し努力を積み重ねていきたいですね。
そして未来の子供たちが自由に伸び伸びと仕事ができ楽しく暮らしていける世の中にしていきましょう。
最後まで目を通してもらいありがとうございます。
また次回お会いできることを楽しみにしています。
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