こんにちはエヌヒロです。今回は学生の就活について考えていきます。
日本の学生の就活を見ていると「職に就く」という文字通りの「就職」より「会社に就く」といった「就社」の意識が強いように思います。
なぜなのか・・・?。色んな理由が考えられます。
ひとつは人手不足。
少子高齢化や団塊の世代の大量退職に伴い人手不足が進み一部の大企業を除いては依然として売り手市場が続いています。
よって名前の通った大企業や有名企業からの求人が増え自分の特性も考えずに応募するという現状はその理由のひとつでしょう。
でもそういう就社意識を醸成しているのは学生達の「親」にあると私は考えています。
旧態依然とした親の意識が子である学生達の就社意識を強くしている。そしてそのことが多くの弊害を生んでいると考えています。
私はキャリアコンサルタントとして若者の就職支援やキャリア形成に携わっています。
その私が見た学生達が抱える問題点や彼らを支える親の問題点、そして学生を取り巻く学校の問題点を明らかにすると共に改革の方向性を考えていきます。
学生の問題点
企業選択の実状
2020年は新型コロナウイルの影響で学生の就職活動にも大きな影響が出ました。
合同企業説明会の中止やオンラインによる面接など、学生も企業も全く新しいスタイルでの就活・採用活動を余儀なくされました。
このように就活や採用活動のスタイルの変化はありました。しかし学生達の企業選択の実状は何ら変わっていなかったように感じています。
どう変わらなかったのか・・・?。
私は民間企業出身のキャリアコンサルタントとして学生の就活をサポートし、就職相談や意思決定に向けての支援を行っています。
その中で感じるのは学生たちの就社意識の強さです。
企業の業種や職種にこだわるより、知名度やネームバリューに強い関心を持ち意識をそこに向けています。
いわゆるブランド志向が強いということです。この意識は全く変わっていませんでした。
売り手市場と言われてずいぶん時間が経ちました。そんな現状に学生達も慣れっこになっているのでしょう。
自分の実力以上の企業を希望してしまう傾向がみられます。
少しでも知名度の高い企業への就職したい・・・そんな感じです。実力のある中小企業やベンチャー企業があるにも関わらずです。
そのような状況で何が生まれているのか。離職率を見ると良く分かります。
離職率の実態
学生の離職率を見ていきたいと思います。就職後3年以内の離職率の状況がまとめられています。
「新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率 大卒32.8%・高卒39.5%」これは令和2年10月に厚労省が発表したものです。
なぜ彼らは会社を辞めてしまうのか。調査結果があります(初職の離職理由)。「仕事が自分に合わなかったため」という理由がダントツ1位です
大学生はインターンや会社訪問や企業分析をしっかり行っている「はず」なんです。
高校生は大学生と違い厳しい縛りの中(1人1社制等)、担任を中心に進路指導部で手厚い支援をしている「はず」なんです・・・なのにこの結果です。
この離職率は何を語っているのでしょうか。
離職率は語る
離職率は語っています。現状の進路指導の在り方ではうまくいかないと・・・。
その理由とは以下の2点です。
ひとつ目は学生の主体性の欠如です。年々、学生達から主体性がなくなっています。
自分で自分の働く場所を決めることができなくなってきています。少なくとも彼・彼女らを現場で直接見ている私にはそう見えます。
ふたつ目は進路指導に携わる職員の質的物理的な限界です。
質的限界ですが、大学のキャリアセンターにしろ高校の進路指導部にしろ、生徒を支援するのは基本的に学校の職員です。
よって基本的に企業のことを詳しく知りません。
まー企業情報についてはHP等で調べればわかるでしょう。しかし仕事内容については深く知ることができていないのです。
要は、民間企業で働いたこともない職員や教師が学生達の就職支援を行っている訳です。
ということは学校サイドの拠り所は、企業へ就職した学校OBがつなぐ「企業とのパイプ」とOBという「ロールモデル」が中心なのです。
しかもロールモデルに対しては「コンピテンシー(成果に対する行動特性)」という視点もなく判断材料としては成績や部活動経験、性格といったものにならざるをえないのです。
次に物理的限界です。
これは特に高校の進路指導部に関してですが、進路担当は教師です。
当然授業があります。加えて私からすると首をかしげるような「庶務=雑務」が多く忙しすぎます。時間をかけての指導には物理的な限界があるのです。
ただし大学にしろ高校にしろ職員や教師は頑張っていると思います。
中にはキャリア系の資格を取る職員や教師向けにキャリア教育も行われるようになってきました。
頑張ってはいるんです・・・。
しかし職員や教師にはどうすることもできない「壁」が存在するんです。その壁が「親」という保護者の存在なのです。
その親という壁の存在について次項で詳しく見ていきたいと思います。
親の問題点
親という壁
見てきたように高止まりした離職率は、学生自身が抱える問題と進路指導の在り方といった問題の両方を浮き彫りにしています。
しかし、その原因の大半はズバリ「親」にあります。親の「我が子への思い」が「壁」になり問題解決を困難にしています。
売り手市場の中、親の子供に対する「願望」も大胆になっています。
自分の子供をどこまで分かっているのか・・・そうでないのか・・・?。
おそらく「願望」が優先し現状理解が不足しています。根拠もなく一流どころに「就社」して欲しい・・・と。
子供もそれに応えたいと・・・。
高度経済成長から脈々と続く会社選択に対する考え方から未だに抜け切れていない。そんな現状が見て取れます。
よって学生は、まず名前の通った有名どころの会社への就社を希望します。
自分がその会社の仕事内容に向いているか否かは後回し。
自身の適性と仕事内容や職種とのマッチングといったものは二の次になってしまっているのです。
加えて少子化です。一人っ子が増えています。
ここでも「実家の近くに居て欲しい」「家から通って欲しい」といった「願望」が出てくる訳です。
日本特有の家族観というもの。子供もそれに応えたいと。
そんな「我が子への思い」が本来の職に就くべき「就職」から社に就く「就社」の意識を無意識に醸成してしまっていると私は考えています。
これこそが学生達の就社意識を強くしている問題の核心だと私は思っています。
そして学校現場は、その親の意識に対してまで口をはさむことはまずできません。学生にアドバイスはできても、親の意識を切り替えさせることはできないのです。
親の意識改革が急務
日本の若者は安全安心を指向しているように思います。
それはそれで間違いではないでしょう。でもそれが正解だとも思えません。
日本の場合どうしても大多数の方向に流されがちです。その意識を植えつけているのも「親」なんです。
3年で辞めてしまった若者がその後どうしているのか。
「仕事が自分に合わなかったため」と言った彼・彼女らはどんな仕事なら合ってのいたのか。そばにいる親が考える必要があります。
とりあえず再就職しようと思えばできてしまう社会です。
でもそれでは同じことを繰り返す可能性だってあります。彼・彼女らの可能性を伸ばすといった観点も抜け落ちています。
若者に旧態依然とした価値観を押しつけて可能性を潰してしまうのはもったいない。
教育制度にも問題は多いでしょう。でも制度は急に変えられないし変わるとも思えません(9月入学の議論も潰れちゃいましたね)。
でも親の意識を変えることはできるんです。
親の意識が変わることで子供達の意識も変わっていく。この流れが加速しないことには日本は何も変わらない。そう思います。
一番大切なことは、子供達の可能性を引き出すことです。可能性を引き出し社会に送り出す・・・それこそが親の仕事じゃないでしょうか・・・。
でも中には「そうは思わない」という意見もあるでしょう。
そんな方はこちらのサイトで数々のデータを見ながら、一度真剣にこの国の未来をどうすれば良いか考えてみて下さい。
大切なことは意識改革
親の意識を改革するには
親の意識を改革するための私なりの考えを列記しています。
難題です・・・。でもここを考えていかないと何も変わらないのです。
- 子供の成長過程を振り返り適性を見極める
- 間口を広げ多様な価値観を認める
- 近視眼的にならないようにする
- 親も勉強する
- 子供に適性検査を受けさせてみる
- 親の思いを押しつけた後の子供を想像してみる
適性検査については最寄りのハローワークやジョブカフェで受検可能です(すべて無料。所要時間は1時間ほど)。
※リンク先に紹介されている以外にも各地域に多くのジョブカフェがあります。
ネットでググってみて下さい。
※また厚労省は若者向けにこんなサイトも作っています。
学校の進路指導改革
学校現場は今後できれば以下の改革を頑張って断行して下さい。
- 大学のキャリアセンターに民間出身の職員を増やす
職業や職種に対し一定の仕事理解のある人を配置する - 高校は3年生の担任や進路関係教師の授業を減らす(生徒支援の時間確保)
- 適性検査の導入と検査結果をサポートする体制の構築
できれば急いでやって欲しいものです。難しいのは承知で言っています。
若者の意識改革も急務
私は日本の今後を憂いています。
現在の仕事に就いたのもこれから国を背負っていく若者を支援し、意識改革の側面から国を支えていきたいという思いからでした。
若者の主体性のなさ、空気を読みすぎ流されがちな国民性、変化を嫌う価値観・・・どれもが21世紀を生き抜くために見直していく必要があります。
何もしなければ日本は危機に陥ってしまうのではないか・・・そんな懸念を抱いています。
経済や教育、文化や芸術にもその影響は及ぶでしょう・・・と言うかもう及んでいます。
「各制度が時代に合わなくなり金属疲労を起こしている状態」にあるということです。
政治は見ての通りの体たらく振りです。実体経済も明るさは見えない。
GAFAとマイクロソフト社を合わせた時価総額が、東証1部上場企業約2170社の時価総額を上回ったとのニュースはまだ記憶に新しいですね。
そんな閉塞感を打破するのは若者しかいません。
若者の意識が変化し日本が変わっていく。国を変えるのは若者のエネルギーです。早くしないと日本は永遠に変われない。
このままでは日本が危ない・・・私は大いに危惧しています。
私はこれからも日本を変えるエネルギーを持ってもらえるように若者支援を続けていくつもりです。
若者達がすこしでも前向きな意識を持ち変化に立ち向かって欲しい・・・そして世界を目指して欲しい・・・そう思っています。
最後に
今回は日本の学生が抱える就活の問題点を見てきました。
大変難しい問題だと思っています。でもこの意識の改革は急務だとも思います。誰かが言わないといけない。
意識改革の根底には学生も親も学校も「自律」といった大命題があります。
自律した個の繋がりこそが強い組織を作る・・・この持論で若者を支援していくつもりです。
最後まで目を通してもらいありがとうございます。
また次回お会いできることを楽しみにしています。
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