こんにちはエヌヒロです。今回は「やる気」について考えていきます。
何かやろうとするとき、なぜか「やる気」が出ないことって誰だってありますよね。でもあるきっかけでもの凄い「やる気」が湧いてくることがあるのも事実です。
そんな私たちの「やる気」を左右しているのは何なのでしょうか?。
今回は私たちの行動に影響を与える「やる気」について深掘りしていきたいと思います。
今回の記事から分かること。
- やる気とは
- モチベーションとは
- やる気とモチベーションの違いと関係性
- やる気を出す方法
最近やる気が出ない方は必見です。
やる気を深掘りする
やる気とは
やる気がある、やる気がない・・・私たちはある行動をするとき良く「やる気」という言葉を使います。
そんな「やる気」を深掘りする前に「やる気」の定義を確認しておきます。
やる気
学研 現代新国語辞典
自分から進んで何かをしようという意思
やる気
三省堂国語辞典
何かをしようとする積極的な気持ち
念のために2種類の国語辞典を引いてみました。
ここからわかるのは「やる気」とは「何かをしようとするときの前向きな気持ちの在り方」を表す言葉と言えそうです。
何かをしようとするとき「自分から進んでやる」ときや「気持ちが積極的」なときは「やる気がある」と言い、「気が進まなかったり消極的」なときは「やる気がない」なんて言います。
どっちにしろポイントは「行動」だと言えそうです。だって「何かをしようとする(=行動)」ときの気持ちの在り方なんですから。
そう考えるとやる気が「ある」とか「ない」とかっていうのは、「行動するときのエネルギー」や「行動するための力」が「有るのか?無いのか?」を言っているということが分かります。
じゃー行動するときの「エネルギー」や「力」はどこから湧いてくるのか?。行動するための「前向きな気持ちの在り方」を決定するのは何なのか?。
それこそが「モチベーション」だと私は思っています。
やる気の有る無しを決定しているもの、やる気を下支えしているのはモチベーションである!。そう言えるのではないかと考えます。
ではそのモチベーションについて見ていきたいと思います。
モチベーションとは
ここでは「モチベーション」について考えていきます。
今でこそ「モチベーション」という言葉は「モチベ」なんて言って誰でも使っていますが、ひと昔前はそう誰もが使う言葉ではなかったように思います。
マーケティングにおける消費行動やスポーツの世界で良く使われていたような・・・。
なぜこんなことを話すかというと、どうも「モチベーションはやる気と混同されている」と感じているからです。
良く使われるようになった最近の一般的な使い方で考えると「モチベーション=やる気」でもイイとは思いますが、ここではしっかりと区別して考えていこうと思います。
モチベーションの定義です。
モチベーション
「動機づけ」のこと。
物事を行うための動機や意欲。刺激や熱意。人間の行動を喚起し方向づけ統合する内的要因を動機といい、その動機の状態になることを促す心理的エネルギーを表す概念
そうなんです。モチベーションとは「動機づけ」のことなんです。その動機の状態になるための内側の(心の)エネルギーのことなんです。
だから先に見たようにモチベーションとやる気は別物で、モチベーションは「やる気の有る無しを決定しているもの」「やる気を左右する心のエネルギー」のことなんです。
ということは、やる気を出すためにはモチベーションが必要ということです。モチベーションを上げる必要がある。そうでないとやる気は出ない。そう言えます。
やる気にとって大切なモチベーションですが、モチベーションには実は2種類あるんです。その2種類のモチベーションについて次に見ていきます。
外発的・内発的モチベーション
モチベーション(動機づけ)には2つの種類があります。
- 外発的動機づけ
- 内発的動機づけ
それぞれを説明していきます。
まずは「外発的動機づけ」からです。
外発的動機づけ
行動が評価や報酬、強制や罰によって動機づけられること
例えば給料や地位などの外的な要因によってモチベーションが左右されることです。
給料の多い少ないが仕事に対するモチベーションを上げたりもすれば下げたりもする。よって給料が高ければモチベーションも高いけど、給料が低ければ当然モチベーションは低い。
もっと言うと給料が高い間はモチベーションが継続できるけど給料が低くなったとたんモチベーションは萎んでしまう。
分かるような気がします。行動の継続が自分の外部の要因によって決定されると言うことですね。
だから継続が不安定なんです。
これに対して「内発的動機づけ」はこうです。
内発的動機づけ
何かに興味や関心を持ち達成に向けた意欲が芽生え、満足感や充実感を得たいという内面から沸き出る気持ちによって行動が動機づけられること
内発的動機づけは、自分自身の内面にある意欲や気持ちといった内的な要因によってモチベーションが左右されることです。
私はロードバイクで山の峠越えを良くやります。
自転車であの峠を越えたい、頂上の景色を見たい、そして峠を制した満足感や充実感を得たい。そんな私の内面から湧き上がってくる気持ちがモチベーションを上げ達成を目指す。そういった感じです。
行動の継続が自分の内部の要因によって決定されると言うことですね。
だから継続できる。
今回のテーマは「やる気」です。
そのやる気の「有る無しを決定しているもの」「下支え」はモチベーション(動機づけ)であると前項まででお話ししました。
その動機づけ2種類を見てきたわけですが、こうしてみるとやる気の「有る無し」や「下支え」としての「動機づけ」で大切なのは「内発的動機づけ」であるような気がします。
それは心理学者の「エドワード・L・デシ」の実験からも明らかです。
デシの実験
デシによると人の心理を動かすものとして「外的報酬」と「内的報酬」があるとしています。
給料や地位などの外部の要因が外的報酬で、達成感・満足感・充実感などの内部の要因が内的報酬になります。
先ほど「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」を説明しましたが、そこでの外的な要因や内的な要因こそ「外的報酬」であり「内的報酬」なのです。
そこでデシの行った実験です。デシはパズルを解くことで外的報酬と内的報酬に関する心理実験を行いました。
どういった実験かというと、まずパズルを解くグループを2グループに分けます。
- パズルを解くと金銭的報酬をもらえる
- パズルを解いても金銭的報酬をもらえない
この2グループです。
そしてパズルを解くことに取り組ませる。こんな実験です。今回は結果だけをお伝えします。
実験の結果、
「パズルを解いても金銭的報酬をもらえないグループ」の方が継続的にパズルに取り組む時間が長くなった。
こんな結果が出ました。
これはパズルを解く「楽しさ」や「面白さ」という内的報酬が「もっとパズルを解きたい」という内発的動機づけにつながったというものです。
内的報酬が内発的動機づけを上げて「やる気」が出たということですね。
加えてデシは、
外的報酬は心からの「楽しさ」や「面白さ」といった内的報酬を失わせてしまい内発的動機づけを弱める(アンダーマイニング効果)。
こう結論づけています。
ここからも「やる気」にたいするモチベーションで大切なのは「内発的動機づけ」であると考えられます。
そうです「やる気」を引き出すためには「内発的モチベーション」を上げる必要があるんです。
では内発的モチベーションはどうやって上げていったらイイんでしょうか?。デシの教えを参考に見ていきたいと思います。
やる気を引き出す内発的モチベーションの上げ方
内発的モチベーションを生み出す3つの欲求
内発的モチベーションを上げるにはひとつやっかいなことがあります。それは内発的なことなので本人の興味や関心がなければ内発的モチベーションは芽生えないということなんです。
じゃーどうすれば良いのか?。デシは3つの欲求が必要だと言っています。
- 自律性への欲求
誰かに行動を管理され指示されることで内発的モチベーションは下がります。自分の行動は自分で決めて管理するという自律性が満たされことが必要です。 - 有能感への欲求
「自分でやれた」「達成できた」という有能感が満たされることも大切です。自分の行動が誰かに認められることで有能感を高めることができます。 - 関係性への欲求
他者との関係性への欲求です。「誰かとつながっていたい」「誰かの役に立ちたい」という欲求を満たすことで他者との関係性が深まっていきます。
この3つです。
3つの欲求を満たすことで内発的モチベーションが自分の中に芽生える可能性が高まります。
内発的モチベーションが自分の中に芽生えたら後はそれを上げていくだけです。そうすることで行動する「やる気」を引き出せる可能性が高まるのです。
内発的モチベーションの上げ方
やる気を出すための最終ステップです。内発的モチベーションを上げていきます。その方法です。
3つあります。
- 目標設定
スモールステップでOKです。小さな目標を設定しクリアしていく。それを繰り返すことで成功体験を積み上げます。達成感が内発的モチベーションを上げていきます。 - 見える化
「やるべきこと、やらなければならないこと」を紙に書きだし「見える化」して下さい。行動が明確になり手が届くというイメージを持つことができます。「有能感」も高まり内発的モチベーションは上がっていきます。 - 振り返り
実際とった行動を振り返って下さい。そして今後に向けて修正を加えまた行動していって下さい。そしてまた振り返りです。この繰り返しで行動がうまくいかなくても修正できることを感覚的に覚えて下さい。
この3つをセットで行って下さい。
そうすることで内発的モチベーションが上がっていき、その結果結「やる気」を引き出すことができるようになっていくのです。
内発的モチベーションこそ変化のエネルギー
「エンゲージメント指数」というのがあります。
エンゲージメント指数
会社への関与の度合いや仕事との感情的なつながりを評価する基準
この数値についてアメリカの人事コンサルティング会社(KeneXa High Performance Institute)が調査した報告があります。
エンゲージメントの高い社員は、仕事に対してポジティブであり会社に誇りを持っているということになります。
これに対しエンゲージメントが低い場合は、仕事に対してネガティブであり会社を憎んでいるということになります。
その「社員(フルタイム従業員)エンゲージメント」の調査で、日本企業の社員のエンゲージメント指数は31%でダントツの世界最下位!。世界最低という結果が報告されています。
この結果から日本の社員は仕事に対しネガティブで会社を憎んでいる。仕事や会社に対して誇りもなく使命感もなく、受け身でやらされてる感いっぱいで日々仕事をしていることが想像できます。
簡単に言うと日本企業の社員は「仕事に対するやる気がない」ということです。
報告では世界最高はインドで77%。後にデンマーク67%、メキシコ63%と続きます。ちなみにアメリカが59%5位。中国は57%となっています。
どうしてこんなことになってしまうのか?。
やる気とモチベーションの関係を紐解いてきた私たちには分かります。日本の社員は内発的モチベーションが低い。だからやる気がない!。
エンゲージメント指数を高めるには内発的モチベーションを上げてやる気を引き出すしかない。そうしないとこの指数はどんどん下がっていくように思います。
ただ難しいのは内発的であるが故、デシが言うところの「3つの欲求:自律性・有能感・関係性への欲求」がまずは必要になるということです。
こういったことのサポートを今後はもう会社はやってくれない・・・私はそう思っています。おそらくそんな余裕はない。自分でやるしかないんです。私たちが自ら変わるしかない。
内発的モチベーションを上げることはやる気を引き出すエネルギーになりますが、それ以上に私たち自身が変わっていくエネルギーになるはずなのです。
内発的モチベーションを上げることで私たちが変化し、やる気が出ることで会社や仕事との関係性が深まっていく。その結果エンゲージメント指数も上昇していく。これがベストだと私は思います。
日本はエンゲージメント指数に限らず色んな数字が世界の中で低いと言われています。年々酷くなっている。
それは仕事だけでなく、生きていくこと全般において「内発的モチベーション」が低いことが原因がではないかと考えられます。
でも悲観してばかりでは仕方ありません。
一人一人ががそれぞれの環境や立場で足元を見つめ直し「3つの欲求」を意識して「内発的モチベーション」を上げていくことにより必ず変化は訪れると私は信じています。
そうなることで「個人」も「働き方」も「会社」も「国」もまだまだ変わっていけると信じています。
最後に
こ今回は「やる気」について考えてきました。やる気を深掘りすることでモチベーションを深掘りすることにもなりました。
「やる気」と「モチベーション」には深い関係性があることも分かりました。
日本は色んな問題を抱えていますが、私たち一人一人がモチベーションを上げやる気を出して物事に関わっていけば問題解決の糸口もつかめるのではないかと思っています。
やはりここでも大切なのは主体的・能動的な生き方ということになります。
主体的・能動的に生き、在りたい自分を目指していくことが結果的にモチベーションを上げやる気につながっていく。
そんな思いを「やる気」を深掘りする中で改めて感じました。
最後まで目を通してもらいありがとうございます。
また次回お会いできることを楽しみにしています。
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