こんにちは。
今回の記事は中年以降の方々に向けて書いています。
人生100年時代です。
ということは、定年後が長いということです。
あなたの年齢にもよりますが・・・ざっと考えても30年~40年程あるということです。
「残りの人生」なんていう表現は嫌いです。
歳を取ってこそできること、年齢を重ねないと分からないこと、その歳になったから言えること・・・。
まだまだたくさんあるはずです。
そうです・・・中高年だからと言って枯れてしまう必要はない。
むしろ「だからこそ」大いに活性化して欲しい・・・同年代としてそう思います。
しかし、中高年になると悩みも多い!
ユングが言った「人生の正午」を過ぎると、これまでとは違った人生の側面が見えてくるのも事実です。
その波に少なからず翻弄され、ある人は悩み、またある人は病んでしまったり、そしてまたある人は引きこもってしまうことだってあるのです。
誰もが通る道・・・でもこの道を通り過ぎるのは簡単ではない。
私も経験があります。
今回は中高年の誰もが通るこの道を、どうやって乗り越えるのか?
そしてこれからの人生をどう生きていくのかを考えてみたいと思います。
今回は骨太の記事です。
今回の記事はこんな中高年のお役に立ちます。
- 仕事と生活のギャップに悩んでいる人
- これからの人生に迷っている人
- 自分の役割が見つけられない人
- 人生100年時代の生き方を見つけたい人
中年の危機とは
時代は急速に変化しています。
変化のスピードは年々早くなっているように感じます。
色んなことがアナログからデジタルに変わり、変化のスピードが加速したのかもしれません。
そんなに急がなくとも・・・なんて思うんですが、時代の流れは許してくれないようです。
気がつけば中高年と言われる時期を迎え、「ふっ」と立ち止まり自分を振り返ってみたら会社の隅っこにひっそり・・・。
俺もあと数年で定年か・・・。
ありがちですよね。
でも人生100年時代なんです。
私たちは長生きするようになりました。
医学の進歩は難病をも克服しながら、私たちの命を支えてくれています。
これからますます寿命は延びていくでしょう。
とすると、中年以降が長くなる。
50歳なんてまだ人生のド真ん中です。
あのユングは40歳を「人生の正午」と言いました。
でもこの時代、人生の正午は50歳だと私は思っています。
ユングは人生を4つのステージに分けています。
「少年・青年前期・中年・老人」・・・この4つです。
そして各ステージとステージの間、そう・・・ステージが移り変わる時期を転換期として「危機」と呼びました。
転換期である「危機」の時期には「考え方や行動」を大きく変える必要があると説いたのです
そして「人生の正午」は「中年の危機」であり、しかも「人生最大の危機」と位置付けました。
ユングが言う「人生の正午」の時期にある中高年は、この「人生最大の危機」を迎えているのです。
でもここを乗り越えないと先へは進めません。
人生100年時代です。
この時期はまだまだ半分・・・先は長い。
次のステージに進むためには、どうしても「中年の危機」を乗り越える必要があります。
どうやって乗り越えていくのか・・・。
その対策を考える前に「人生の正午」に中高年にはどんなことが起こっているのかを見ていきたいと思います。
ユングの「人生の正午」を俯瞰する
ユングが言う「人生の正午」にあたる中高年の実際を俯瞰してみましょう。
いったい中高年である私たちの身の回りに何が起きてるのでしょうか?
具体例をあげてみます。
会社では
- 人や環境の変化によるストレスの増加
- 成果主義等、新しい評価制度の導入
- 迫られるDX化や最新技術への対応
- 先行き不透明な会社の業績
- リストラ対象の若年化
- 早期退職制度の常態化
- 近づく役職定年
- 黒字リストラの拡大
- ジョブ型雇用・通年採用の普及
- 大転換を迎えている産業構造
個人では
- 気力・体力の衰え
- 子供の巣立ち
- 親の介護・別れ
- セックスレス
- 夫婦のミゾ
- 地域コミュニティーとの乖離
中高年の身の回りにはこういった変化が起こっています。
ユングが言う「転換期」ってやつですね。
ユングはこういった転換期を「危機」と表現したわけです。
しかも中高年の危機は「人生最大の危機」であると。
でもこうしてみるとユングの教えは言い得て妙・・・中高年の方々、そう思いませんか?
一足先に経験した私には良く分かります。
上に記した出来事が次々と起こってくるんですね。
「人生の正午」を過ぎると今まで日の当たらなかった部分に日が当たり、これまで見えなかったことが顕在化してくるわけです。
しかも次から次に・・・。
まさに、転換期どころではなく「危機」・・・人生の・・・しかも最大の。
正直・・・へこんじゃいます。
きついです。
辛いです。
でも乗り越えないといけない。
なぜなら、人生はまだまだ続くからです。
人生は100年時代なのです。
ユングもこう言っています。
「人生の正午」を迎えたら「午後には午後の生き方がある。午前とは違う何か新しいことを始めよう、そしてこの危機を乗り越えよう」と。
そうです・・・「午後(人生の後半戦)には、新たなチャレンジをすることが重要で本当に望んでいることを生きよう」と言ってるのです。
希望が出てきませんか?
そしてこうも言ってます。
「午後は夜に向かって日は落ちていくが、午後(人生後半)は午前(人生前半)よりも時間が長い」と。
気力が湧いてきませんか?
そうです、やる気さえあれば「人生最大の危機」だって乗り越えられるのです。
自然の流れに逆らって生きるのは苦しい。
それよりも、流れを受け入れ「危機」を乗り越えること自体が人生を創り上げていく。
ユングはそう言っています。
ではどうやって乗り越えていくのか?
その乗り越え方を次項で見ていきたいと思います。
「人生最大の危機」対処法
それでは危機の乗り越え方を見ていきたいと思います。
具体的な乗り越え方として「ドナルド・E・スーパーのライフキャリアの虹」と「岡本祐子のアイデンティティの再体制化」を見ていきます。
アラフィフ~中高年向けには「note」にも記事を書いています。良かったらぜひ!
ライフキャリアの虹に学ぶ
まずは「ドナルド・E・スーパーのライフキャリアの虹」から説明します。
スーパーは、キャリアを人生を通しての様々な役割の組み合わせと定義しました。
そして、この考え方を「虹(レインボー)」にたとえて説明しています。
下の図がスーパーが示したものです。
これは「ライフキャリアの虹(ライフキャリア・レインボー)」と呼ばれ、人生における役割を図で説明したものです。
人生を通しての役割の変化や重なりが一目でわかる図になっています。
スーパーは人が人生で果たす役割は9つあるとしています。
・子供・学生・余暇人・市民・労働者・配偶者・家庭人・親・年金生活者
この9つの役割を5つの舞台で演じるとしています。
演じる舞台はひとつのこともあるし複数の場合もある・・・そう言っています。
・家庭・学校・地域社会・職場・施設
そして「中年の危機」を乗り越えるために押さえておくポイントは何か?
それは中高年になると「仕事や生活上(環境)の役割」と「自分の志向性(自己概念)」にズレが生じてくるということです。
どういうことか?
例えば、仕事で考えます。
中高年になったあなたに「会社(舞台)が求めること」と「あなたがやりたいこと(志向性)」が食い違ってくるということです。
仕事以外でも考えてみます。
中高年になったあなたに「家庭(舞台)が求めること」や「地域社会(舞台)が求めること」と「あなたが考えること(志向性)」がマッチしなくなってくるということです。
要は、中高年になったら求められる「役割」と「自分の志向性」が違ってくる。
そこには葛藤が生まれる。
だから「危機」に陥ってしまうわけです。
あなたが今まで通りの考えでやっていこうと思っていても、周囲があなたに求めることは違っているということですね。
では、どうしたらいいのか?
そこで登場するのがスーパーの「ライフキャリアの虹」なのです。
スーパーの言う「様々な役割の組み合わせ」を自分に当てはめ考えてみて下さい。
自分自身と自分が置かれた環境を確認し、今ここで自分ができる「役割」を自分の中で「すり合わせ」でいくのです。
これは重要なことです。
これこそ、危機を乗り越える重要な考え方なのです。
しかし注意することがあります。
実は「すり合わせ」を邪魔するものがあるのです。
それっていったい・・・?
それは「自己概念」と言われるものです。
自己概念とは何か?
次項で詳しく見ていきます。
自己概念とは
では「自己概念」を詳しく見ていきます。
「自己概念」、聞かれたことはありますか?
自己概念を簡単に説明します。
自己概念
自分が何者であるかという自己イメージ。何が好きか嫌いか。何をしているときに充実感・やり甲斐を感じるか。そんな自分自身で捉えた自分の自己像のこと。セルフイメージ、セルフコンセプト。
この「自己概念」は後述するアイデンティティーを捉えるベースになるものでもあります。
この自己概念が環境と自分の「すり合わせ」を邪魔するのです。
「俺は俺だ!」と思いたい。
それはそれで大切なのですが、そればっかりではよろしくない。
人生は100年時代です。
これから先、色んな価値観を持った人や色んな年代の人と繋がっていかなければならないのです。
ではどうするのか?
自己概念を再構築(修正)するのです。
どうやって?
まずは、これまでの自分を振り返り自己概念を炙り出して下さい。
「好きなこと嫌いなこと」「充実感を覚えるのはどんな時か」「何にやり甲斐を感じるのか」そんなことを自問自答し書き出していくのです。
そうすることであなたの自己概念が見えてきます。
そこから見えてきた自己概念を「役割の視点」から見直していくのです。
「これからどうしていけばいいのか?」
そして今の環境で「自分にはどんな役割ができるのか?」
自らに問いかけ「現実との折り合い」をつけていく。
これこそが「自己概念を再構築(修正)」することなのです。
今のあなたにしかできない役割があるはずです。
「ライフキャリアの虹」を見ながら考えてみましょう。
自分自身と今の自分が置かれた環境を振り返り、自分の限られたリソース(資源)を自分の役割にどう分配していくのか。
これを考えていく。
今までの役割に新しい役割を加えたり、これまでの役割のウエイトを減らしたり。
あなたのリソース(資源)の各役割への配分を変えてやる。
そうやって自分自身の役割を見直すことで「自己概念を再構築(修正)」していくのです。
そのことが環境とあなたの「ズレ」を修正し「危機」を乗り越えることに繋がっていくのです。
アイデンティティの螺旋式モデル
自己概念の再構築に似た考え方として「アイデンティティの再体制化」があります。
広島大学の岡本祐子教授が示した理論になります。
これは個人の生涯における発達を「アイデンティティの確立」という観点から示した理論です。
アイデンティティー再体制化の概略です。
アイデンティティーの再体制化
個人のアイデンティティは一度確立したらずっと維持されるのではなく、「確立」「モラトリアム」「拡散(自分を見失った状態)」「モラトリアム」「確立」のサイクルが螺旋状に繰り返されながら発達していくということを示したもの。
現在の多様化した社会では非常に意味のある理論だと思っています。
岡本教授は螺旋状に繰り返されるサイクルの中で、アイデンティティが新たに確立していくことを「アイデンティティの再体制化」と呼ばれています。
そうです、「人生の正午」を迎え「危機」の真っただ中にある中年の方々には、この「アイデンティティの再体制化」が必要なのです。
まずはこれまでの自分自身を振り返り、自己概念を炙り出してみましょう。
そしてその自己概念を役割の視点から再構築していくのです。
先に話した通りアイデンティティ確立のベースは自己概念です。
危機を乗り越えるスタートとして、あなたは自己概念を再構築しました。
その再構築した自己概念をベースにして自分のアイデンティティを捉え直してみて下さい。
「危機」を乗り越える「自分の本質」が見えてくるはずです。
自律そして「ありたい自分」へ
自己概念の再構築やアイデンティティ再体制化に必要なものは何でしょうか?
それは「自律」です。
そうです、自律的に生きるのです。
あなたは今まで忙しく仕事をこなしてきました。
だからどうしても役割の中心は会社であったわけです。
そこから自分を解放する。
自らの手で・・・自分の意志で。
そうすることでスーパーや岡本教授が教える「危機」を乗り越える考え方がぐっと身近になります。
そのために必要なキーワードが「自律」なのです。
「自立」ではなく「自律」
そうです、自分で決めたことを自分でやっていくのです。
そしてそれが「ありたい自分」を明確にしていくことに他なりません。
自律的に自分の頭で考え、自分を振り返りながら今ここの役割に対応していく。
「ありたい自分」を柔軟に変化させその都度確立していく。
そうすることで人生100年といわれるこの時代を主体的・能動的に楽しく生きていきことができると私は思います。
あなたの今の役割は何でしょうか?
役割を見直すことで自己概念を再構築してみましょう。
それをベースにしてアイデンティティを捉えてみましょう。
それはアイデンティティを再体制化することになる。
このプロセスこそが「危機」を乗り切る方法であると私は思います。
そしてそのプロセスの先にあるもの、それこそが「ありたい自分」であると私は思っています。
最後に
今回は新たな役割を見つけて「中年の危機」を乗り越える考え方や方法を見てきました。
中年の危機はユングが言う通り「人生最大の危機」であると思います。
経験してきた私には良く分かります。
それは「アイデンティティーの拡散」などというものではなく、それこそ「破壊」されるといった感覚でした。
おそらく「中年の危機」など気づかない人だっていると思います。
でもおそらく「発達課題」における「危機」を経験するかしないかというのは、その後の人生における「深み」が違ってくるのではないかと思います。
危機を乗り越えるのは簡単ではありません。
むしろ難しい。
でもその危機を乗り越えた先には「ありたい自分」があるのです。
主体的・能動的に生きることで「ありたい自分」見つけるというのは、私のブログのテーマです。
私はこの記事を書きながら「ありたい自分」を見つけるためにも危機を乗り越え、自分らしく楽しく生きていきたいと改めて思っています。
最後まで目を通してもらいありがとうございます。
また次回お会いできることを楽しみにしています。
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