こんにちは。
今回は地方創生を考えるシリーズの2回目です。
地方創生は日本の活性化を考える上で絶対に欠かせないものです。地方創生の1回目の記事は、コロナ禍は地方にとってチャンスだ!・・・と書きました。
そこでも取り上げた「ワーケーション」を今回深掘りしてみたいと思います。
ワーケーションについて賛否両論があることは知っています。私は賛成です。大賛成です。理解できる人がやればいいと思っています。
そして今後はワーケーションをやる人が確実に増えてくると私は思っています。
なぜか・・・?。
答えは簡単です。それは働き方に対する概念が変わってきているから・・・と言うか変わったからです。
地方はこの変化を見逃しちゃいけない!。
詳しくは記事の中でお話ししていきます。じっくり読んで下さい。
今回の記事はこんな人の役に立ちます。
- 地方創生に携わっている人
- ワーケーション推進を考えている人
ワーケーションをやりたい人も読んでみて下さい。
どうなる?東京一極集中
地方創生の目的のひとつは「東京一極集中」の是正にあります。地方創生が発表されて5年以上が過ぎた今、東京一極集中はどうなっているのかを検証します。
東京一極集中の潮目が変わった?
総務省の発表によると、2020年10月も東京都からの転出者が転入者を上回ったそうです。
いわゆる転出超過。その数2,715人。しかも4カ月連続。
東京都は総務省が調査を始めた2013年以降ずーっと転入超過が続いてました。今年の5月に初めて転出超過になり6月に一旦転入超過に戻りましたが7月からまた転出超過が続いています。
国が地方創生推進を始めて6年。東京への一極集中は全く止まらず、止まらずどころか増加を続けていました。
それがここへ来て一変。転出超過が続いているのです。原因はもちろん新型コロナウイルスでしょう。大企業を中心としたテレワークの浸透により働き方の幅が広がってきたのが一因とみられています。
東京一極集中の潮目が変わったのか・・・?。
この流れは定着するのか?。それとも一過性のものなのか?。今の段階では答えは出せません。
私の予想ですが、一旦は元の流れに戻るんじゃないでしょうか?。でも・・・完全に元に戻ることはないと考えています。
そして緩やかではあるものの東京からの転出超過が次第に始まっていくのではないかと私は思っています。
そうすべきだと・・・そんな願望が大きいのでこんな予想になるのかもしれません。
でも理由もちゃんとあるんです。
だって分かっちゃったじゃないですか・・・出社することの無意味さが。あんな殺人的な満員電車に毎日乗って出社するのを好む人は誰もいないでしょう。
無理して出社しなくても仕事はできることが分かってしまった。
企業だってそうです。高いオフィスの賃貸料や社員の通勤費用が浮くわけです。これは大きい。
このチャンスに働き方を見直さない手はないはずです。変わるチャンスなんです。
誰もが思っていたのに「できなかった」「やらなかった」ことをやれるチャンスが到来しているのです。
今やらなきゃ!。
もしかしたら東京一極集中が変わるかもしれない・・・そんな踊り場を迎えているような気が私はしています。
地方創生という幻想
「地方創生」っていい言葉ですよね。耳触りがいいというか、うまいというか、さすがというか・・・日本の官僚が考えそうなキャッチフレーズですよね。
でも「地方創生」とは掛け声ばかりで地方からの人の転出は全く止まっていません。
総務省が公開している「住民基本台帳に基づく人口」っていうのがあります。
2020年1月1日時点の住民票のデータを集計したものなんですが、この1年間に日本人の人口が増加した県は3県だけです。
どこだと思いますか?。
答えは、東京都・神奈川県・沖縄県。この3県だけなんです。
実は人口の増加には「自然増加」と「社会増加」の2種類があるんです。
自然増加は「出生者数が死亡者数より多くなって人口が増えること」なんですが、自然増加で人口が増えている県は「沖縄県」だけです。
もうひとつの社会増加というのは「転入する人が転出する人より多くなって人口が増えること」です。社会増加で人口が増えた県は7都府県あります。
増えた順に、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・大阪府・福岡県・愛知県。この7都府県です。
ちなみに人口が減っている都道府県を上位5つを見ると。減少幅の多いところから順に、北海道・兵庫県・静岡県・新潟県・福島県になります。
もちろん人口の増減だけで地方創生の全てを評価できるもではありませんし評価するつもりもありません。
でも人口の増減が地方創生に与える影響が大きいことは事実でしょう。
だって内閣官房・内閣府総合サイトの「地方創生」にはこう記してあります。
人口急減・超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、政府一体となって取り組み各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創生することを目指します。人口減少を克服し、将来にわたって成長力を確保し、「活力ある日本社会」を維持するため、
・「稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする」
まち・ひと・しごと創生「長期ビジョン」「総合戦略」「基本方針」
・「地方とのつながりを築き、地方への新しいひとの流れをつくる」
・「結婚・出産・子育ての希望をかなえる」
・「ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる」
という4つの基本目標と
・「多様な人材の活躍を推進する」
・「新しい時代の流れを力にする」
という2つの横断的な目標に向けた政策を進めています。
うーん・・・?。厳しい。厳しすぎますよね。
まさに「地方創生」っていうのが掛け声ばかりの幻想でしかないっていうのが良く分かります。
その「地方創生」が変わるかもしれない。そんな変化の予兆を前項の東京都の転出超過が表しているかもしれないんです。
そしてその変化を現実のものにするのが「ワーケーション」だと私は思っています。
ワーケーションという働き方
私は地方創生という考えを地方創生という言葉通りに機能させる手段として「ワーケーション」を推進すことを提案します。
ワーケーションをすぐやれる環境にある人は「どんどんやっていきましょう!」、各企業には「制度化しましょう」、各自治体には「取り込みましょう、環境を整備しましょう」との提案になります。
ワーケーションとは
ご存知とは思いますが、ワーケーションを定義しておきます。
ワーケーション
work(仕事)とvacation(休暇)を合わせた造語。地方や観光地、リゾート地といった職場とは違う環境で、テレワークを活用し「働きながら休暇を過ごす」スタイルのこと。
2015年頃アメリカで生まれた働き方らしいですね。
「働きながら休暇を過ごす」という部分をどう解釈するかでワーケーションに対する評価は大きく変わってくると私はみています。
そもそもワーケーションは「仕事」なのか「休暇」なのか。
ここでハッキリとさせておきますが「ワーケーションは仕事です」。新しい働き方のスタイルということです。
当然法的な適用も受けるのです(今回ここは端折ります)。
おそらく日本では休暇中に仕事をするという概念でワーケーションを評価しているのではないでしょうか?。
だから「休暇中に仕事かよ」とか「不当に働かされる」とか「費用はどっちが持つんだ」とか・・・ネガティブな捉え方が多いですよね。
でも例えばフリーランスがある企業と契約してて、その企業の仕事を地方の観光地でテレワークを使って仕事をするとなると・・・どうでしょう・・・何の違和感もないのでは?。
どこで仕事をしようと契約した仕事さえ完了できれば、それは成果に間違いないはずです。
企業からしたら何の問題もないのではないかと思います。
一方でフリーランスサイドから見たらどうでしょう。
自ら選んで地方の観光地に行った。そしてそこで仕事をしながら休暇を過ごした。これが「仕事」なのか「休暇」なのかという議論はほとんど意味がないのではないかと私は思います。
要は「やりたい人はやればいい」・・・ただそれだけです。
おそらく日本のワーケーションに対する意見は「費用」とか「労災」の問題から入ってるんでネガティブな方向に流れていると私はみています。
従来の日本的雇用慣行からすれば分からないではないし、そうなのかもしれません。
ということは現在の日本でワーケーションを根付かせるには前提が必要ということになります。その前提とはこれです。
- ジョブ型雇用
- 成果主義
- フルリモートOK
できる業種できない業種があるのは当然です。できる業種からやっていく。この考え方が必要です。
でも今の働き方の流れからすれば、こういった前提が整いつつある。そういう時代になってきているように思います。
働き方の概念が変わった
ここでもやはり新型コロナウイルスです。東京一極集中で書いたことと同じです。できないと思っていたことができてしまった・・・ということです。
私たちは「やれなかった」のではなく「やらなかった」のです。
在宅勤務にリモートワークといったテレワークが浸透しました。一旦は元に戻るような動きもあるようですが完全に戻ることはないでしょう。
働き方の概念が変わってしまったのです。
これからはテレワークができる業種や職種は在宅勤務やリモートワークが主流の働き方となっていくはずです。
そしてテレワークができる業種や職種であるにもかかわらず、在宅勤務やリモートワークを導入していない会社には人材が集まらないようになっていくと私は考えています。
今後はテレワークの導入というものが、働く側が会社を選ぶ際の重要な選択ポイントになっていくとみています。
そしてテレワークの環境における働き方のひとつのスタイルが「ワーケーション」なのです。
ワーケーションもまた会社を選択する際の重要ポイントになっていくでしょう。
できる所からやっていく
新しい概念を導入するときは批判がつきものです。だからできる所からやっていけばいいと私は思っています。
そしておそらくですが、テレワークができる業種や職種はワーケーションを導入する会社が増えていくはずです。
最初は会社も働く方もワーケーションに対しては違和感があるかもしれません。
これも通勤と一緒です。
やってみればできてしまった。そうなると私は思います。
何度も言いますが、やりたい人がやればいいんです。違和感がある人はやらなきゃいい。でも働き方の選択肢としてワーケーションは準備すべきだと私は思います。
そしてやる人が増えてくれば評価は後からついてくるでしょう。
大切なことは会社や社会がワーケーションを受け入れる環境を整えることです。そしてワーケーションを推進していく。
特に地方はワーケーションを「地方創生のカギ」として受け入れる環境整備を進めていくべきだと思います。
次項ではワーケーションを「地方創生のカギ」としてどう推進していくかを見ていきたいと思います。
地方創生のカギ
コロナ禍は必ず収束します。しかし変わってしまった、そして新しくなった常態は元には決して戻りません。
地方は新常態=ニューノーマルに向けて動き始めるべきです。ニューノーマルな時代に地方創生を実現するためには何が必要か・・・そのきっかけを考えていきます。
地方創生のカギです。
長期ワーケーションの推進
具体的に「長期ワーケーション」の推進を提案します(前回の記事でも数案提案してますが今回はワーケーションに絞ります)。
地方は働き方の変化を捉えて長期のワーケーションに対する需要を取り込んでいく施策を実行していくのです。
そのためにはまず環境整備が必要です。
まずは何といってもWi-Fi環境の整備です。これがなければテレワークできないんでワーケーションは成立しません。
地方のWi-Fi環境整備の低さをとってワーケーションなんかできないって言ってる人もいますが、こんなのは本気でやろうと思ったらすぐできるはずです。
超山間部ならともかく、ワーケーションを推進していこうと考えている地方の観光地はWi-Fi環境の整備はできるはずだし必須です。
逆に言えば今だったらWi-Fi環境を整備するだけで一歩リードできる現実があります。
地方の観光地だったら宿泊施設は整っているはずです。後はソフト面を充実させるだけ。長期滞在を念頭に置き地方の特色を活かしたスキームを作っていって下さい。
そして長期滞在型のワーケーションを自治体として売り込み需要を喚起していく。企業は働く選択肢としてワーケーションを導入していく。
そして働く私たちもワーケーションという働き方を受け入れ自分を変えていく。
そこから本当の地方創生が始まっていくはずです。
ノマドワーカーを取り込む
提案をもうひとつ。それは「ノマドワーカー」の取り込みです。
ノマドワーカーって知ってますか?。
ノマドワーカー
英語の「nomad:遊牧民」と「worker:働く人」を組み合わせた言葉。決まったオフィスや自分専用の机を使うのではなく、様々な場所で自由に仕事をして働く人のこと。
このようなスタイルの働き方を「ノマドワーク」と言います。私は今後、このノマドワーカーが増えていくのではないかと思っています。
ノマドワーカーに向いている職種が次のようなものです。
- プログラマー
- デザイナー / Webデザイナー
- エンジニア / Webエンジニア
- ライター / Webライター
- Youtuber / ブロガー
どうですか?。要はテレワークしやすい職種ってことですね。
こういったIT系やWeb系の仕事環境で働いている人はノマドワークしやすい。だからマドワーカーになれる。
プログラマーやIT・Web系のエンジニアというのは国も増やそうと躍起になっている職種でもあります。
Youtubeやブログといったアウトプットの場は、広告収入が生まれるというビジネスの現場にもなっているのです。
さらに、IT系やWeb系の会社でなくてもクラウド技術を背景にした「リモートアクセス」を導入すれば、遠隔操作で「いつでも・どこでも」仕事場(オフィス)にアクセスできてしまう世の中です。
こういった仕事環境が広がっていくと、テレワークできる職種がどんどん広がっていく可能性が大きい。
こういった仕事環境は在宅勤務やリモートワークの増加を意味します。
そしてそれはワーケーションをする人やノマドワークをするノマドワーカーが増加する可能性があるということなのです。
私は最近の若者に触れていて、こういった自由な働き方を目指す若者が増えていることを肌で感じています。
もう数年するとこんな働き方が主流になっていくような気さえしています。主流でなくてもフリーワンス的な働き方は確実に増え続けるでしょう。
ジョブ型雇用と通年採用の導入増加がそれを表しています。雇用環境や働き方にパラダイムシフトが起きているのです。
地方創生を成功させていくにはこのような雇用環境や働き方の変化を敏感に感じ取り、いち早く施策として実行していく決断力や実行力が必要ではないでしょうか。
アフターコロナの雇用環境や働き方の変化、リモートアクセスについては下の記事に書いています。
今回のまとめ
今回の記事をまとめておきます。
- 東京一極集中がコロナ禍で変わってきた
- 地方創生は掛け声だけで多くの地方は人口が減っている
- ワーケーションという働き方が注目されてきている
- ワーケーションを今の日本でやるには前提が必要
- ジョブ型雇用
- 成果主義
- フルリモートOK
- コロナ禍が働き方の概念を変えた
- テレワークの導入が人材確保の成果にもつながる
- ワーケーションはできる会社できる職種からやっていく
- 地方創生のカギ
- 長期ワーケーションの推進
- ノマドワーカーの取り込み
地方創生に特効薬はありません。変化を先取りし試行錯誤する中で正解を探していくしかないと思っています。
最後に
今回は地方創生を実現するカギとしてワーケーションの推進を考えてきました。
私たちにとって働き方の変化は大変大きな意味を持ちます。私たちの生活の中心が働くことだからです。
働き方が多様化していくのは良いことだと思っていますし、それが生産性の向上につながっていくのなら最高ですね。
ワーケーションと労働生産性の議論はまた別の機会に行いたいのですが、ワーケーション否定派は生産性が上がらないことを理由にされている方もいるようですね。
しかし働く側が気持ちよく働ける環境があってこそ生産性は上がるものだと私は思います。
ワーケーションに限らず、働く環境を整えていくのは企業としての責務であると思います。記事中でも書いた通り、今後の人事戦略にも絡んでくる重要事項になるはずです。
それは会社の規模の大小には関係ありません。
今後、働き方は大きく変化していくと思います。そこを見据えた上で地方創生を考えなければ戦略の焦点はズレてしまうでしょう。
今回の記事が地方創生を目指す関係者の方々にとって少しでもお役に立てば幸いです。
最後まで目を通してもらいありがとうございます。
また次回お会いできることを楽しみにしています。
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