地方創生を考える【コロナ禍の今だからこそ地方が考えるべきこと】

地方創生

こんにちは。

今回は地方創生を考えていきます。

まだまだ新型コロナウイルスによる災禍は続きそうな気配です。コロナ禍がもたらした新常態に私たちが慣れた部分はありますが、今後の展開は予断を許しません。

私たちの日常がコロナ禍の前に戻るとまでには相当に時間がかかると予想されます。そして完全に元通りになることはもうないと私は思っています。

私たちが経験したことのない災禍であるこのパンデミックですが、このコロナ禍を地方創生の視点から見ると決して悪いことばかりでも無いようです。

今回は地方創生というキーワードでこのコロナ禍を見ていくと、どういったことが見えてくるのかということを中心に地方の今後を考えてみたいと思います。

今回の記事で分かること。

  • 新型コロナウイルスが変えた日常
  • コロナ禍による新常態が地方創生に与える影響
  • 地方創生に向けてコロナ禍をどう利用していくのか

こういったことを中心に論じています。

地方創生への追い風!?コロナ禍の新常態

新型コロナウイルスによって私たちの日常は大きく変化しました。今やその状態が「新常態」となっています。ここでは新型コロナウイルスが変えた日常をピックアップしてみていきたいと思います。

ピックアップするのはこの6つ。

  • 生活様式
  • 働き方
  • 時間
  • 消費
  • コミュニケーション
  • 価値観

そしてこの6つが地方創生への追い風になる可能性を秘めているのです。

生活様式

新型コロナウイルスが変えた日常、まずは「生活様式」です。感染防止をするために色んな変化が起こりました。

まずはやっぱり「3密を防ぐため」のソーシャルディスタンスでしょう。人と人との間隔を取って生活。これが新常態になりました。

スーパーやコンビニのレジ待ちではもちろん、駅やバス停、飲食店まで隣との間隔を空けるという状態が当たり前になりました。

私も慣れるまでは結構大変で、レジ待ちなんかついいつも通りに並んでて「ふっ」と足元を見るとラインが引いてありコロナ禍を思い出したりすることが何度もありました。

その他、マスクや手洗いが身近になりましたね。マスクは品切れとなり高額で転売されたりもしました。

手洗いは習慣づいている人には全く問題なかったんでしょうけど、やってなかった人にとっては結構忘れがちになることもあったんではないかと思います。

世界的に見て日本人は手洗いをするっていうことでしたが、「手を洗いましょう!」なんていう映像があれほど多く流れたところを見ると「本当にそうか」なんて疑問に思ったりもしました。

私の周りにも「?」って人は多かったですよ。ちなみに私は集団になることが多い職場なんで手洗いはコロナ禍の前からやってました。

新しい生活様式はしばらく続くでしょう。というかこれが当たり前になると思います。

マスクはちょっと辛いですけど・・・。特に相手の表情が良く分からないのは辛い。その分「目」をよく見る世になりました。「目は口ほどに物を言う」を実感している毎日です。

働き方

私たちは1日の時間の多くを仕事に費やしています。新型コロナウイルスが変えた日常で一番影響があったのが仕事、働き方ではなかったでしょうか。

3密厳禁です。また非常事態宣言もありました。よってテレワークが必要に迫られる形であるにせよ一気に広がりました。

在宅勤務やリモートワークが非常事態宣言中は新常態になりましたね。

在宅勤務できない製造業をはじめとした「現場」でも時間差出勤や週休3日を導入して対応していました。建設現場も工期を後ろ倒しにして緊急対応したようです。

建設業に関しては工期が伸びることで後の工事も工期が伸びるとか、一旦取りやめになった入札案件もあり影響は大きかったようです。

もちろん製造業も影響は大きかったんでしょうけど、うまく対応していたように感じます。コロナ禍に対応できないって決めつけて何もしなかった企業も多いみたいですが・・・。

緊急事態宣言も解除され働き方も元に戻りつつあります。しかし今回の「大きな実験」で「できること」「できたこと」が分かってきました。

その「できること」は積極的に導入し「できたこと」は継続して今後の働き方に活かし、働きやすい労働環境を作っていくべきでしょう。

過去に例のない大きな社会実験をしたわけです。決して無駄にするべきではありません。

時間

コロナ禍が私たちに在宅勤務や時間差出勤という働き方を強要した結果、思いもよらない自由な時間が新常態になりました。

趣味に使う人、ゲームに興じる人、家族と過ごす人、スポーツをする人・・・これまでなかった自由な時間は大切に使われていたような気がします。

でも私が感じたのは「自分を見つめ直す」ための良い時間になったのではないかということです。

副業のノウハウ本や自己啓発系の本が良く売れていたようです。コロナ禍が先行きの不透明感を増幅し「自分はこのままでいいのか?」なんていう意識が多くの人に生まれたのではないかと思います。

副業系の本をアマゾンでチェックしてみると軒並み品切れになっていました。みんな「もしもの時」への備えを考えたのかもしれませんね。いいことだと思います。

また自由な時間は家族関係や親子関係、そして夫婦関係といった周囲との関係性についても考えさせてくれるきっかけになりました。

このように何かがトリガーとなって色んなことを考えていくのは非常に重要です。せっかくだから考えたことはできれば実行に移して欲しい・・・そう思います。

実行に移し試行錯誤していく。その先にようやく本質が見えてきます。そしてそこが見えることで次にやるべきステップが分かってきます。

コロナ禍は自由な時間を与え、今の自分そしてその後の自分を考えさせてくれました。しっかり考えたことは今後のライフプランにぜひ活かしていって欲しいと思います。

消費

「巣ごもり消費」なんて言葉も生まれ、消費がネット中心になっていきました。そしてそれは新常態として続いているようです。

大人数による会食や宴会も自粛が続き、外食産業では「宅配」や「持ち帰り」といった業態にシフトする動きも続いています。

展示会なんかもオンラインになり、ネットでオーダーというスタイルはもう定着しています。

消費がオンライン中心になると「距離」という概念が無くなってしまいます。都市や郊外、中央や地方が同じ土俵で勝負をすることができるわけです。

となると、やはり「良いものが売れる」「より付加価値が求められる」という消費の本質が問われるようになっていきます。

コロナ禍は消費についても本質的なことを考えさせてくれたのです。

コミュニケーション

コミュニケーションの方法も変化しました。ここはやっぱりZOOMに尽きるでしょう。

ZOOMを使ったコミュニケーションは仕事上の会議に限らず、オンライン飲み会やオンライン帰省という新常態を生み出しました。

我が家も今年のお盆はオンライン帰省でしたよ。

テクノロジーは今後ますますコミュニケーションの方法を多様化させていくことでしょう。そしてフェイス・トゥー・フェイスの雰囲気に近づいていくはずです。

ZOOMによって開かれた新しいコミュニケーションのスタイルは、より人間味を帯びた形に進化していくと私は考えています。

価値観

新型コロナウイルスが変えた日常を見てきましたが、一番変わったのは日本人の価値観ではなかったかと私は思っています。

日本人は安定を好みます。できる限り変化を避ける国民ではないでしょうか。分かっていても変わらないって感じです。

そんな日本人特有の価値観をコロナ禍は多少なりとも動かしたと思っています。必要に迫られたとはいえ新しい日常を受け入れてきました。

それって変化したことに間違いありません。変化の胎動が出てきたように思います。

今後はこの変化の胎動が大きくなり、しっかりと芽を出し色んなところに波及していくことを期待しています。

変化することが新しい常態になる。ぜひそうなって欲しいものです。

コロナ禍を逆手にとる発想

新型コロナウイルスのパンデミックは今でも地方経済に大きな痛手を与え続けています。しかし手をこまねいてばかりでは前に進みません。

コロナ禍を逆手に取る発想が重要になってきます。

地方移住の推進

国をはじめこれまでどうしても止めることができなかった東京の一極集中。このままでは都市部と地方の格差は進むばかり。

新型コロナウイルスはこんな難しい問題にも簡単に風穴を開けてしまいます。

テレワークの浸透は通勤による出社という概念を無くしてしまいました。在宅勤務やリモートワークで仕事が回ることが分かってきたのです。

加えてICTやクラウド技術の発達は、リモートアクセスやセールステックといったビジネス環境を進化させ職種次第では「いつでも・どこでも」仕事ができるという夢のような時代になっています。

一部の会社ではコロナ禍前の出社スタイルに戻る動きもあるようですが、業務内容次第ではテレワークとの使い分けが今後定着していくことでしょう。

この流れを地方は見逃すべきではありません。

さっそく各地方とも動き始めているようです。地方の行政機関は今こそ都会暮らしのビジネスパーソンに向けて地方移住を訴えていくべきでしょう。

実際、首都圏に住む非正規労働者の6割が地方移住に興味を持っているとの調査報告もあります(ディップ調べ)。

訴求対象を明確にし、その対象に絞り込んだ訴えをしていくことが重要です。

イメージ的には、テレワークが可能な30代。家族で移住。家を持ちたい。こういった層が訴求対象になってくるのではないでしょうか。

通信環境や子育て環境を整えていけば実現の可能性は大きいと思います。

過疎化が進み有効な手を打てないままの地方にとって今回のパンデミックは災禍であると同時に、乗り越えられなかった壁を一気に崩してしまう可能性を秘めています。

インバウンド需要の減少による宿泊業や飲食業の不振、加えて製造業も苦しい状況が続いています。コロナ禍を逆手に取り、地方ならではのメリットを訴えていく発想が重要になってきます。

週末スポット副業

副業解禁の流れはコロナ禍の前から進んでいます。そしてコロナ禍で浸透したテレワークは、そんな副業も在り方も変えていこうとしています。

地方移住までは難しけど、これまで仕事で培ってきた知見を地方の活性化に役立てようとする人が増えてきています。

普段は都市部で働き週末の空いた時間を故郷など地方の企業や自治体で副業を行う。そんな「ふるさと副業」のスタイルが注目を集めています。

そういった状況もあり都市部の人材と地方の企業や自治体をつなぐポータルサイトも複数立ち上がっています。

例えばパソナが運営するマッチングサービス「JOB HUB LOCAL」。都市部の大手企業で働く20代~40代の会社員が多数登録しているそうです。

ただし今は都会から地方に入るのが難しい時期です。でもテレワークであれば何ら問題ありません。「ふるさと副業」もテレワークが根付いていくと考えられます。

またこういった副業のスタイルは、現役世代の人はもちろん定年後に自分の経験を活かし切れずにいるシニア世代にとっても絶好の機会となります。

長きに渡り蓄えた知見からくるノウハウは、企業や自治体の大きな力となってくれるはずです

このように地方にとってコロナ禍は、優秀な人材を有効活用できるというチャンスを提供してくれます。

コロナ禍は地方を活性化させる絶好の機会でもあることを認識する必要があるのです。

ワーケーション推進

ワーケーションって聞いたことありますか?。

ワーケーション
work(仕事)とvacation(休暇)を合わせた造語。地方や観光地、リゾート地といった職場とは違う環境で、テレワークを活用し「働きながら休暇を過ごす」スタイルのこと。

これがワーケーションです。

このワーケーション、2015年あたりにアメリカで生まれたらしい概念なんですが、日本ではやる前から多くの懸念材料が噴出しています。

「休暇中に仕事?」「不当に働かされる!」なんて声が上がってるみたいですね。

でも私は「できる人がやればいい」といったスタンスです。フリーランスはやりやすいでしょう。どんどんやったらいい。

働き方はどんどん多様化しています。今後は企業からも働く側に対して新しい働き方を提案していくことが雇用の在り方として必要ではないかと思っています。

地方はワーケーション需要を取り込むべきです。地方創生につながりそうであれば何でも試してみる必要があります。

現に2019年には1道6県と58市町村でつくる「ワーケーション自治体協議会」なるものが設立されてるんです。これってコロナ禍前ですよ!。

多分うまく機能していないんでしょうから今こそチャンスです。このチャンスを活かしていきましょう。その環境は整ってきています。

コロナ禍で脚光を浴びることになったワーケーション。地方創生に向けてぜひ活用していきたい休暇スタイルです。

IT企業誘致

地方の雇用の受け皿対策は、これまで製造業に代表される「大きな工場」を誘致することでした。

大きな工場は多くの雇用を地方にもたらしました。そしてこの雇用モデルは高度経済成長から現在に至るまで続いています。

しかし今やアジアの新興国が頭角を現し日本の製造業は曲がり角を迎えていると言わざるを得ません。今のままのビジネスモデルでは早晩アジアの新興諸国にキャッチアップされてしまうことでしょう。

今後は産業の中核をIT分野へシフトしていくことが重要な命題となってきます。そのことは国も重々承知で小学生からプログラミング教育を必修化するなど力を入れてきています。

ソフトの分野では大きく立ち後れていると言われて久しい日本ですが、それは産業や社会構造自体が旧態依然として変わってこなかったことにも原因があるでしょう。それが今変わろうとしている。

地方はこの大きな変化を見逃すべきではありません。将来性のあるIT企業は今の日本にも数多くあります。

AIやIoT、5Gやクラウドといったこれからのテクノロジーは多くのサービスを生み出していくはずです。

そしてそこに対応していくには従来型の大企業的思考ではなく、朝令暮改も辞さない意志決定スピードが要求されます。今までそれができなかった。だから数周遅れになってしまった。

地方は今後それができるIT企業を誘致していくべきでしょう。ITベンチャーなんて最高です。

大きな工場ほど多くの雇用は生まないかもしれませんが、先端IT人材を育成していく場の提供は将来のコンパクトシティ化へ向けた大きな試金石になっていく可能性があります。

自動運転の進化もそれを後押しするはずです。

大きな工場はコンパクトシティには似合わない。都市の中に働く場がある。コンパクトシティ構想で外せない視点だと私は思います。

5G環境が整いつつある今がそのチャンス。将来の都市構想を含めた発想で対応してもらいたいものです。

分散型オフィスを誘致

コロナ禍で実施されたテレワークはオフィス不要論を生みました。実際にオフィスが不要かの判断は今はまだ難しいところです。

しかし先にも触れた5Gやクラウドの発達は、ますますテレワーク環境を進化させていくはずです。そこでは「会社までの距離」という概念自体が無意味になります。

今後は人材確保のために、社員の働きやすさを優先した雇用の在り方を考えていかざるを得ません。そんなことで「通勤」は今後ますます減っていくこと予想されます。

しかしだからといってフェイス・トゥー・フェイスがなくなるかといえば、そうでないと私は考えます。私たちはやはり日本人。「膝を突き合わせて」の議論が必要になる場面が必ずあると思います。

そこで必要になってくるのが分散型のオフィスです。

全国にいるテレワーク系社員が必要に応じて集まるオフィスを企業がエリア毎に用意する。この分散型オフィスを地方に誘致するわけです。

企業がオフィスを用意しないのなら準備を促していくのも地方が生き残る戦術のひとつです。

通信環境や子育て環境が整っていることは、発信の仕方次第では周辺産業への波及効果も期待できます。

大きいところではパソナが本社機能を淡路島に移したようなことも可能性としてはあるわけです。

ここでも重要なのは将来の都市構想です。何かを入り口(ここでは分散型オフィスの誘致)にして地方創生へ向けた施策を広げていく。そういう中長期的視点がキモになります。

これからは地方も競争意識が大切です。本当に地方創生を実現したいのならしっかりとした競争意識を持った上で向き合って行く必要があるのです。

地方創生なくして日本の再生なし

冨山和彦氏の「なぜローカル経済から日本は蘇るのか(PHP新書)」にはこう書いてあります。

日本のGDPと雇用の7割をサービス産業が占めており、そのほとんどがローカルな市場で経済活動をしている。

グローバルな世界で勝負ができる製造業やIT産業には頑張ってもらわないといけないが、ローカル経済が活性化しないことには日本は蘇らない。大意そんなことが書いてあります。

そう、地方が蘇ることこそ本当の意味で日本が蘇ることなのです。

また冨山氏はこうも言っています。「地方の生産性の低い企業には緩やかに退出してもらうべき」。そのためにはサービス産業の最低賃金を上げろと。

ローカルの世界では競争が不完全でサービスが悪い企業も生き残ってるって言われるんですね。存在意義のない企業には市場から退出してもらい人手不足解消のために人材を流動化させろと。

冨山氏の言っていることはおそらく正しいでしょう。しかしローカルで生きてきた私からすると、そう簡単にローカルな人たちがこの提言を受け入れるとは思えません。

でもこの提言と先に述べたコロナ禍を逆手に取る発想を組み合わせながら実行していくと、出血は必要最低限に抑えられるのではないかと思っています。

そうすることで地方経済が次第に活力を取り戻し地方創生へとつながっていく。そんなロードマップを描いていくべきではないかと考えます。

そしてそのロードマップは最終的に日本の再生へとつながっていくのです。

「地方創生なくして日本の再生なし」。これこそ今後の日本が目指していくべき方向性であると私は考えています。

最後に

今回は地方創生について考えてきました。

地方創生は簡単ではありません。今回のブログでコロナ禍がチャンスであることをお話ししましたが、一番重要なのは地方で生活を営むひとりひとりが地方創生を願うことです。

そこに住むひとりひとりの住民が地方創生に向けた意識を高めていかなければ実現は難しいでしょう。

地方創生に関わる人全てに向けて書いた記事ではありますが、住民が受け入れないことには実現はあり得ません。

私も地方に住む住民の一人ですが、自分が住んでいる地域を考えることは将来を考えることと同じです。

今後どのような地域にしていきたいのか、自分は何ができるのか、そこに向けて必要な首長は誰なのか。

地方創生を考えることは、そういったことを含めトータルで地域のことを考えていくこと。そんな認識が必要なのだと思っています。

地方在住の一人として今後も機会を設け地方創生について発信していきたいと思っています。

最後まで目を通してもらいありがとうございます。
また次回お会いできることを楽しみにしています。

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